離婚裁判
今日は、離婚裁判についてお話しします。
分かりやすく、一般的なケースをご説明しますので、この流れではないこともあります。
離婚を希望している方がいます。 夫婦で話し合いをしましたが、成立しませんでした。
一般のお金を請求するだけの民事事件では、この段階で裁判もできます。
しかし、ご夫婦の問題である離婚は、裁判をする前に原則として調停をしなくてはならないことになっているため、まずは、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停に相手方が出てこなかった場合や、相手方は出席していても話し合いがまとまらなかった場合には、調停は不成立となり、離婚を希望する方は裁判をする必要があります。
裁判は、まず、家庭裁判所に対し、「訴状」を提出することで始まります。
訴状以外に、収入印紙や郵便切手も裁判所に提出する必要がありますし、戸籍謄本など必要書類も添えて提出します。
訴状を提出すると、裁判所から連絡があり、1回目の期日を調整します。
訴状提出から1か月後から1か月半後くらいに1回目の期日が入ることが多いです。
訴状を提出した側(正式には、「原告」といいます。)は、1回目の期日まで、書類などに不備がない場合にはやらなくてはならないことはありません。
期日が決まったら、相手方(正式には、「被告」といいます。)に訴状と期日の案内が送付されます。
1回目の期日は、相手方は出席してもいいし、下記の答弁書を提出すれば出席しないことも認められています。
現実にも、1回目の期日は相手方の予定を確認せずに決められるので、お仕事などの関係で出席が難しいことも多いと思います。
また、弁護士を付ける場合でも、弁護士も1か月を切った期日に出席できるとは限らないため、1回目の期日は書類を提出して期日には出席できないこともあります。
出席しない場合には、必ず「答弁書」という書類を出さなければなりません(出席する場合にも提出します)。
この「答弁書」に、どういう判決を求めるのか、簡単な言い分を書いて出すことになります。
2回目以降の期日は双方が出席できる日を調整して決めます。
弁護士を付けた場合には、通常弁護士のみが出席して、本人は出席しないことが多いです。
もちろん、本人は弁護士とともに出席しても構いません。
裁判は、調停とは異なり、1回1回の期日で当事者の言い分を口頭で時間をかけて聞くということは行われておらず、双方書面に整理してそれを提出するという流れになりますので、事前の準備が必要となります。
自分の主張と証拠を整理することと、相手方の主張に反論するということを何度か繰り返しながら、対立点(争点)を明確にしていきます。
主張や証拠が整理できたら、双方が歩み寄って話し合いができるケースもあるので、その場合には「和解」という話し合いが裁判所でもたれることもあります。
場合によっては、裁判所から、判決となった場合の見通しの一部を知らされて、それを話し合いのベースとすることもあります。
話し合いによる解決が難しい場合には、判決に向けての準備をしていきます。
本人の主張を裏付ける証拠として、本人自身が裁判所で話をして、それを証拠としてもらう「本人尋問」という手続きが取られることもあります。
あるいは、本人以外に証言してもらう必要がある人がいる場合には、「証人尋問」といって、その方に、裁判所で直接話をしてもらう手続きが取られます。
これらの手続きは裁判の終盤に行われることが多いため、これらが終わっても話し合いが難しい場合には、遠からず判決となることが多いです。
判決は、裁判所が双方の主張を証拠に照らして認められるかどうか判断することになります。
判決が出たら、負けた部分がある側は、それを受け入れるか、控訴をするかを検討することになります。
裁判の簡単な流れは以上の通りです。
このほかにも、子の親権などで実質的な争いがある場合などは、それに関する調査などがあることもありますし、いろいろな流れがありえますが、ごく一般的には上記のように動いていくことが多いでしょう。
調停は、自分の言い分を基本的には口頭で述べますし、調停委員が、丁寧に聞いて下さいますが、裁判は、書面でのやり取りが多く、また、書類の書き方や提出の仕方に決め事が多いため、難しく感じるかもしれません。
実際、調停はご自身で対応された方でも、裁判は依頼したいと、当事務所に相談にいらっしゃる方も多いですし、調停は自分で、裁判は弁護士にというのも一つの方法だと思います。
実際、事案や経済的事情を踏まえて、相談者に、ご自身で調停を対応されることを勧めるケースもあります。
ただ、いずれにしても、離婚協議や離婚調停を進める際にも、裁判になったらどういう結論となるかを踏まえた上で進める必要があると思います。
裁判となると、早期に話し合いによる解決ができる場合を除いては、半年から長いと2年ほどかかるケースもあります。
結婚生活の清算は一生の問題であり、早く解決することだけが重要だとは一概にはいえません。 しかし、次の生活をスタートする前に疲れ切ってしまうわけにもいきません。
離婚をお考えであれば、すぐに依頼すべきかどうかは別として、どのように離婚を進めていくべきか、一度、弁護士に相談してみてください。